笹原さんの感情と感覚 2
笹原さんの感情と感覚 2
さて今日はセミナー
★人間関係のストレスを“一瞬”で消し去る心の技術
第2回目
をお送りします。
前回は
★“一般的なコミュニケーション・スキル”の落とし穴とは?をお送りしました。
ポイントは
聞き方・話し方・話し合い方などの、表面的なコミュニケーション技術をいくら学んでも、それだけでは本当の意味での対人力・人間関係力は向上しない」
コミュニケーションや人間関係がこじれる本質的原因は、
『ネガティブな感情・感覚(=生理反応)』であるから
ということでしたね。
要は、昔から言われるように、
人間は、感情の動物
なのです。
そこで今回は、その
★ネガティブな感情や生理反応が起きる、脳と無意識のメカニズムについてお伝えしていきたいと思います。
結論から申し上げますと、
1.脳の最も重要な働きは、自分(たち)を守る(防衛する)ことである。
2.脳は、相手を危険、または敵とみなした瞬間、自動的(無意識的)に、【闘争または逃走反応】を起こす。
3.脳は、この反応を学習し条件づける
ということです。
これらを順番に説明します。
1.人間の脳の最も重要な働きは、自分(たち)を守ることである。
人間に限らず、動物には【自己防衛のためのメカニズム】が深く刻み込まれています。
なぜならば自然界は、危険で一杯だからです。
逆にこの反応が鈍い動物は、簡単に敵に殺されて、食べられてしまったのです。
そして私たち人間もまた動物の一種です。
私たち人間が、数百万年におよぶ進化の歴史の中で、今のように安全な住居に住むようになったのは、まだ数千年ほどなのです。
逆に言うと、人間もまた、何百万年もの間、いつも危険にさらされながら生きてきたのです。
だからこの“自己防衛のためのシステム”が、人間の脳にも深く深~~~くプログラムされているのです。
2.脳は、相手を危険、または敵とみなした瞬間、自動的(無意識的に、***【闘争または逃走反応】を起こす。
先に申し上げた「自己防衛のシステム」の中で、最も基本的で、最も重要なプログラムは、この【闘争または逃走反応】です。
これは、大自然の中で暮らす動物たちをみていればよくわかります。
ジャングルや山の中で、異種の動物(例えばクマとサル)が、たまたま出会えばどうなるでしょうか?
お互いに「危険」を感じて、「戦うか?逃げるか?」という反応になるでしょう。
つまり【闘争か逃走】です。
これが【自己防衛のための生体反応として、瞬間的に起きる】ものなのです。
3.脳は、この反応を学習し条件づける
つまり一度、危険を感じたものは、強烈に記憶されるということです。
先の例でいうと、クマに襲われるという経験をしたサルは、「その“水飲み場”そして“クマ”は危険である」ことを、『無意識に記憶する』のです。
そしてその後、サルは水飲み場に近づかないか、クマを避ける。
またはクマを見た瞬間、逃げるか、奇声をあげて攻撃するかのいずれかになるのです。
そしてここには『思考の介入』はありません。
「あの水飲み場は危ないから覚えておこう」
「クマは怖いから覚えておこう」
と考えたり、記憶しようとするサルはいないのです。
体が覚えるのです。
これを条件付けと言います。
このような学習・条件付けの重要なファクターは、
1)繰り返し
2)強烈な体験
の2つです。
特に「2)強烈な体験」をしたものは、一発で学習・条件付けが起きます。
「○○恐怖症」というのは、大体これです。
子供の時に犬に追いかけられ、噛みつかれた人が、「犬恐怖症」になるのはまさにこれです。
このように、「脳には、自分を守るための3つの働きがある」のです。
要は、
動物である私たち自分の脳は、「相手を危険、または敵とみ
なした瞬間」、頭で考えるより早く【闘争・逃走反応】を起
こし、それを無意識に学習してしまうメカニズムがある
ということです。
そして、そのメカニズムは、動物の一種である、私たち人間も同じなのです。
それが、危険または敵とみなした誰かに対して、
闘争=イライラする・攻撃的になる。言い過ぎる・ケンカ腰になるetc
逃走=避ける・黙る・無視する・相手にしなくなる・仲間ハズレにするetc
ということを、「“つい”やってしまうメカニズム」なのです。
この「つい・・・」というのが、心の世界の言葉でいうと
【無意識のメカニズム】なのです。
いかがでしょうか?
「脳の自己防衛システム」と「心の無意識のシステム」の関
連が理解していただけたでしょうか?
それは
★相手も自分も悪気があって、意識的にそうしているのでは
ない
ということがわかるからです。
例えば、
@さんの上司が、@さんに年がら年中、イライラして吼えているとしたら、それもその人の“条件づけられた自己防衛のシステム”なのです。
また、@さんご自身が、誰かを避けてしまったり、会議などでどうしても引っ込み思案になるとしたら、それも“条件づけされた自分の自己防衛のシステム”なのです。
やり方・出かたが違うだけでが、「自分を守るため」に無意識でやっているパターンに過ぎないのです。
例えば会議の時に
・すぐ吼えたり噛みつく人
・すぐ逃げる人
・すぐコロコロと意見を変える人
・いつも何もしゃべらずに隠れている人
etc
「みんな無意識に、それぞれの方法で、自分を守っている」のです。
しかもそれが条件付け(プログラム)されているので、「いつもそう」なのです。
そんな風に周りの人を見はじめると、なんかいじましくて可愛く見えてきませんか?
もちろん一気にそこまではいかないかもしれませんが、とにかく今は、「どんな理不尽なその人の言動や行動も、『自分を守る脳と無意識のメカニズム』に過ぎない」ということだけでも、知っておいていただければと思います。
ではこの“条件づけられた自己防衛システム”を、私たちは変えることができるのでしょうか?
その答えは、“Yes We Can!”です
それが出来るのが、人間という動物が他の動物より優れている素晴らしいところです。
サルは一度嫌いになったクマを、自分の意志で好きになることは出来ません。
でも人間には出来るのです。
次回、第3回目は、
対人力を劇的にアップする“5つの要素”とはです。